「インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック」を読んだ
- 作者: 島宗理
- 出版社/メーカー: 米田出版
- 発売日: 2004/11/01
- メディア: 単行本
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Rails Developers Meetup で @igaiga555 さんが紹介していた 「インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブック」 を読んでみた。
職場でも家庭でも、何かを教える機会がそれなりにある中で、良い教え方・悪い教え方って何なのだろうというのを体系的に学んでおこうかなと思ったのがこの本を読んだ経緯。 平易な文章と分かりやすい例が多いのでサクッと読み終えてしまった。
学んだこと
- インストラクションは「何らかの行動を引き出すための仕掛け」
- インストラクションは次のような手順で設計する
- 「誰に」「何を」「どこまで」「どのように教える」かを明確にする
- 最終的な達成基準を明確にする
- 習熟確認テストを先に作る(=テスト駆動開発に似ている)
- それを達成するための要素に分解して、何が足りないのかを明確にする
- インストラクションを改善するための材料を適切に集めて継続的に改善する
メモ
インストラクションとは?
- インストラクションとは何らかの行動を引き出すための仕掛け
- うまく行動を引き出すインストラクションにはデザインがある
- 指導がうまくいかないと 個人攻撃の罠 に陥ってる可能性がある
- 原因を個人の能力、性格、やる気のせいにして問題解決へのアクションをとらなくなってしまう
インストラクションの鉄則
- 鉄則1: 何を教えるのかをはっきりさせる
- 標的行動: インストラクションで教えようとする行動
- 例: ドッジボールのゲームを理解するとはどういうことだろう?
- 目標分析: 標的行動を、知識、技能、遂行に分けて具体的な指導目標をつくること
- 知識: 知っていること
- 技能: できること
- 遂行: 実際にすること
- 標的行動: インストラクションで教えようとする行動
- 鉄則2: 学びにコミットする
- 教える = 学ぶではない
- 典型的なスクールは教えることに責任はあるが学ぶことは保証していない
- 学ぶ側のコミットがないと責任を持って教えることはできない
- 教える = 学ぶではない
- 鉄則3: 教える理由をはっきりさせる
- 何のために何を教えようとしてるのか学び手に知らせる
- 学び手の学習行動が動機づけられる
- 鉄則4: 成功の基準をはっきりさせる
- テスト問題を最初につくってしまうことで成功の基準をはっきりさせる
- 鉄則5: 標的行動を見せてやらせて確認させる
- 分かりやすく教えるためには以下のステップで進める
- 標的行動を説明する/見せる
- 「何を」「どこまで」「なぜ」「どのように」を伝える
- 標的行動を行動させる/練習させる
- 標的行動の習得を確認させる
- 標的行動を説明する/見せる
- 分かりやすく教えるためには以下のステップで進める
- 鉄則6: 意味ある行動を引き出す
- 教えようとしてることについて判断が必要な行動を引き出す
- 鉄則7: 引き出した行動はすぐに強化する
- 学びを促進するためには引き出した行動をすぐに強化しなければならない
- 行動の直後に褒めたり、正解であることを知らせる
- 少しずつレベルをあげることで学習しやすくする
- 学びを促進するためには引き出した行動をすぐに強化しなければならない
- 鉄則8: 正答を教える
- 鉄則9: 誤答を教える
- 正当と誤答を組にして教えると分かりやすい
- 鉄則10: スペックを明記する
- 「誰に」「何を」「どこまで」「どのように教える」のか説明する
- 鉄則11: 学び手を知る
- 「誰に」を明確にする
- どんな人か?
- 何人くらいいるか?
- どんなことを学びたがっているか?
- どんな理由で学びたがっているか?
- すでにどんなことを学習しているか?
- まだどんなことを学習していないか?
- インストラクションが始まった後も情報収集を続ける
- 学ぶべきことを学んでいるか?
- 難しすぎてつまづいていないか?
- 簡単すぎて飽きてないか?
- 教え手や教え方や教材などに不満を抱いていないか
- 「誰に」を明確にする
- 鉄則12: 学び手は常に正しい
- 学び手が学べていないならその根本原因を掘り下げる
- それを元にインストラクションをどう改善するかを考える
- 鉄則13: 教え手を知る
- 鉄則14: 学ばせて楽しませる
- 鉄則15: 個人差に配慮する
- 鉄則16:「分かりました」で安心しない
- 皆、分かりましたと答える。
- 分かったかどうかを判定する基準を作ってそれによって判断する
- 鉄則17: 改善に役立つ評価をする
- 教えたことを全て評価する
インストラクションのデザイン
- インストラクションをつくる手順
- 1: 準備段階: 誰に何をどこまで教えるかなどの基本スペックを決める
- 2: 開発段階: 何を使ってどのように教え、どのように評価するかを決めて必要な教材などを用意
- 3: 実施段階: 授業などを実施する
- 4: 改善段階: インストラクションを評価して、教材や指導方法を改善する
- ステップ1: 本当にインストラクションが必要ですか?
- ステップ2: 問題の原因分析。しない・できないの原因は?
- 知識の欠如? 技能の欠如? 動機付け?
- ステップ3: 何を教えるか明らかにする - 複雑な課題を分解する
- ステップ4: 何を教えるか明らかにする -職務分析で必要知識と技能を書き出す
- ステップ5: 何を教えるか明らかにする -抽象的な表現を具体的な行動に書き下す
- ステップ6: 学び手のプロフィールを作成する
- ステップ7: どこからどこまで教えるのか?事後 テストをつくる
- ステップ8: どこからどこまで教えるのか? - 標的行動までの道のりを書き出す
- 標的行動を教えるための前提となる行動を下位行動と呼ぶ
- ステップ9: どこからどこまで教えるのか? - 事前テストをつくる
- 以下を調べることで適切なインストラクションを提供する
- 先習行動がすでに学習されていること
- 標的行動がまだ学習されていないこと
- 以下を調べることで適切なインストラクションを提供する
- ステップ10: 教える内容を分析する
- ステップ11: 説明のための教材を用意する
- ステップ12: 練習のための教材を用意する
- ステップ13: 改善に活かせる評価をする
- ステップ14: 開発評価を行う
- ステップ15: 性能評価を行う
- ステップ16: 実地評価を行う